キングオブコント2021でコントと漫才の違いを完璧に悟った件について

■はじめに

仰々しいタイトルで誠に申し訳ありません。皆様御存知の通り、非常に好評だった今年のキングオブコント。普段は漫才派の僕も、食い入るように視聴いたしました。

その結果「あ、コントってここが大事なんだ!」と強く思うことがあり、さらには「下手したら”漫才とはなにか”論争に終止符が打てるぞ!」とまで思ってしまっため、記憶の新しいうちに見切り発車ではありますがこの記事を書き始めています。

ほぼ自分用のメモです。では行きます。

 

■コントならではの武器とは…

コントに欠かせないもの。ひいては見る人が期待するもの…うまく表現できるかわかりませんがそれは

「心の変化」「関係性の変化」の描写

です!きっと。(少なくとも僕は!)

もちろんコントはお笑いの総合格闘技なので、言葉遊び、掛け合い、小道具、などあらゆるものが武器になります。しかし、その中でコントの根幹をなすのがこの「心」と「関係性」の変化なのではないでしょうか。

漫才はいくらコントに入っても、終わる瞬間は漫才をしている現実の2人に戻るため、
感情移入はどうしてもはかどりません。そのため、ロジック、ディベートとしての展開が重要なのかも。

(そういう意味ではななまがりの別人格が登場するネタやジャルジャル初期のネタは漫才のていのコントなのかも)

コントだからこそ、時系列で変化する心と関係の変化をリアルに楽しめるのだと思いました。よくネタの批評で「展開がほしかった」という声は耳にしますが、これはもしかしたら厳密に言うとコントと漫才では違くてコントでは心の変化をもっとみたい!と思うのかも知れません。感情移入して追体験をしたいというか。

そのような目線で各組の1stステージを(主観で)今カテゴライズしてみますね…

 

■今大会のネタの比較

【心の変化が描かれていたコンビ】
 1位 空気階段        「SMクラブに通う消防士と警察官」
 2位 ザ・マミィ       「変なおじさんと青年」
 3位 男性ブランコ      「文通で知り合った男女」
 6位 蛙亭             「人造人間と博士」

 

【心の変化が乏しかったコンビ】
 4位 ニッポンの社長   「名監督と球児」
 5位 ジェラードン      「転校生と変な幼馴染」
 7位 うるとらブギーズ  「子供が迷子になった父とスタッフ」
 8位 そいつどいつ      「同棲しているカップル」
 9位 マジカルラブリー  「こっくりさんと学生」
10位 ニューヨーク       「ブライダルマネージャーと新郎」

 

蛙亭はトップバッターでどうしても低めなこと、ニッポンの社長はその法則を凌駕するネタ(個人的には好みではないが周りの評判から判断)だったことを考えると、わりかし的を得ているような気がしてきました。そのうえで、今回、個人的に残念な結果になった2組がいます。

(あらかじめいいますが二組とも大好きなコンビです。だからこそと言うことで)


■明暗を分けたコンビ

一組目はそいつどいつです。

最後の大オチ(暗転)に向かう直前まで、関係性はずっとじゃれているカップルのまま。感情移入したい彼氏側の不安感が一向に募りませんでした。じゃれ合いの中で唯一彼女の仕草に「好きだ」というところが面白かったのですが最後のオチを考えると脱線気味の笑いだったのかもと思います。

二組目はマヂカルラブリー

去年のM-1で、一挙一動を掴みにかえた野田さんの策略は記憶に新しいですが、今回のネタはそのM-1すら掴みにしようとする気概を感じ、個人的に今回一番感動しました。
昔はマヂカルラブリーのネタって「不器用な人がこれしかできないからこのスタイルでやっている」という印象であまり好きではなかったのですが、今回の野田さんの動きはこっくりさんがまるで寄生獣のミギーに見えるくらいリアルで本当に面白かったです。

でも点は伸びなかった…漫才でいいとまで言われてしまった…それが、心と関係性の変化の乏しさなのかも知れないなと。村上さんはどれだけ話が進んでもずっといつもの村上さんのままで、ひたすら実況とヤジだったのが、残念ながら野田さんをいつもの面白いことをしている野田さんのままに見えさせてしまったのかも知れません。

「友人の野田さんが死んだ」「こっくりさんが入れ替わった」

ことに対する心の変化を求めていたのかも知れない。

それで言うと、ニッポンの社長
最後にケツさんがすごいバッターだとわかる。でもそれは観客に向けての説明で、
もし辻さんがそれを見ていたら…
もっと心と関係性が変化に飛んでたのかと思う。例えば、我々から向かって左側のバッターボックスに言ったとき、お手本をみせるとかいっていったんホームラン打ちまくったら、辻さんは驚くしそのあとまたぶつかり続けたらどうだったろうか…

 

■まとめ

…ってここまで書きましたが、芸人さんのコントにあれこれ言うのは野暮ですね。
きっとあえてやっていることもあるだろうし、結果論的なところはあるし。

ただいずれにせよ、今後万が一人前でコントを披露することがあればこの2つの変化を大切にしたいと思います。

またこれが正解だと言いたいわけではなく、今後そういう目線でコントを見てみようという自分用のメモということで。ご了承ください。お読みくださりありがとうございました!

次はいよいよM-1だ!